2012年7月4日水曜日

その3 「孤独」 ルツ記1章

前回は「疑い」について学びました。疑いにも、良い疑いと悪い疑いがあるのです。良い疑いとは、「信じたい」と強く願い、神と自分と真剣に向かい合っているがゆえの疑いです。その疑いの中から、信仰を持って一歩を踏み出す時に、私たちは本当の意味で神を体験するのです。

今日は孤独についてですが、あなたはどんな時に孤独を感じますか?一人ぼっちの時、私たちは確かに「孤独」を感じます。でももっと孤独を感じるのは、大勢の人々の中で「自分だけ取り残された」と感じる時ではないでしょうか?私も外国でそのような孤独を感じました。特にドイツでのクリスマス、みんなは家に帰って行くのに、自分ひとりだけ寮に留まり帰るところがなかった時、本当に孤独を感じました。(ドイツでのクリスマスは、日本の正月のように家族が集まる日。町によっては電車も止まってしまいます。)でももっと孤独を感じたのは、正直、気をつかってくれた友人知人の家庭に招かれた時です。厚意で招いてくださった方には本当に申し訳ないのですが、周りが幸せそうにすればするほど、自分も楽しそうにはするものの、なぜか孤独が深まったことを覚えています。イギリスにいた頃、自殺者が最も多いのはクリスマスだと聞いたことがあります。その気持ちも分かるような気がします。孤独は本当に辛いものです。もう二度と味わいたくない。孤独の問題さえ解決したら、人生の問題の大半は解決するのではないでしょうか?

多くの有名人も孤独を感じています。ボブラッセルはこのように書いています。「自分の分野でトップに立った人にとって、多くの場合、孤独はつきものです。キャリアの階段を上れば上るほど、同僚は少なくなり、共感してくれる人も減ってきます。友達も少なくなります。尊敬され、崇拝されるかもしれませんが、特別として扱われるからです。いつも誰かが梯子の最上段から蹴落とそうとしているかもしれないと、他の人を疑ってかかる誘惑に陥ってしまいます。ある人気ロック歌手は、コンサートが終わって日記にこう書きました。『今夜2万5千人を虜にした私は、ひとりきりで家に帰った』。アインシュタインはこう言いました。『世界中の人がわたしのことを知っているというのに、こんなにさみしいなんておかしなことだ』P64」。マザーテレサは言いました。「必要とされていない、愛されていない、気にかけてもらえない、皆から忘れられている…。こんな思いこそが、飢えよりもずっと過酷なこと、…ずっと苦しい飢えだと、私は思うのです。」

ナオミも孤独を感じていました。ルツ記を読む時、私たちは大抵、嫁のルツに注目するのですが、今日はナオミに注目したいと思います。彼女は飢饉(ききん)の時に、夫について、ベツレヘムからモアブの野に移り住みました。慣れない土地で、慣れない言葉と文化と悪戦苦闘しながら子育てをし、ようやく生活も軌道に乗りかけたところで夫に先立たれてしまいました。ふたりの息子たちは、モアブで育ち、モアブ人と結婚しました。そして孫に囲まれた幸せな老後を夢見かけたところで、二人の息子にも先立たれてしまったのです。ナオミは本当に孤独だったのではないでしょうか?当時の未亡人は社会的に本当に弱い立場にありました。人生で積み重ねてきたものが何もなくなってしまいました。でもそんな時、彼女は二人の嫁たちに言いました。「あなたがたは、それぞれ自分の母の家へ帰りなさい。あなたがたが、なくなった者たちと私にしてくれたように、主があなたがたに恵みを賜り、あなたがたが、それぞれ夫の家で平和な暮らしができるように主がしてくださいますように」(9)。それを聞いて、二人の嫁は、声をあげて泣きました。

ナオミには孤独に浸るだけの十分すぎる理由がありました。でも彼女はそれを思いやりに変えました。ルツとナオミの麗しい嫁姑の関係が、この後には続きますが、その背後には、こういった普段からの、優しい声かけがあったことを忘れてはいけません。孤独に浸り、自分をひたすらあわれみ、自分の感情に固執し、他人への配慮を失う時…私たちはますます孤独の罠にはまっていきます。しかし、孤独だからこそ、寂しいからこそ、他人への配慮を忘れず、他人の痛みを自分の痛みとし、普段から優しい言葉を忘れないなら、孤独からの脱出の道は自然と開けてくるのです。「受けるよりも与えるほうが幸いである(使徒20:35)」このイエス様の言葉を忘れてはいけません。

統計によればほとんどの人は孤独を感じているそうです。今は満たされた関係があっても、離別は誰にでもやってくるのです。感じるなと言っても感じてしまうのが孤独。でもインマヌエルの主(イエス・キリスト)を見上げる時、私たちの心に、他人を思いやる余白が生まれるのです。



だれでも、自分の利益を求めないで、
他人の利益を心がけなさい。
Ⅰコリント10:24




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